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都立高校の入試で男女別の定員が設けられている理由

2021年9月、東京都教育委員会の定例会議で、都立高校入試において男女別定員の設定を改める方針を打ち出しました。東京都では全国の公立高校で唯一入学者の定員を男女別にしていましたが、段階的に緩和され、早ければ2024年度の都立高校入試から撤廃される可能性があります。都立高校入試において男女別に定員が存在するのは、第二次世界大戦の前後の日本の教育政策の変化と無関係ではありません。第二次世界大戦が実質的に終結する1940年代の半ばまで、東京都の公立高校の大半は男子校で、女子の多くは高等女学校に通っていました。

戦後にGHQの意向に沿って実施された教育改革により、新制高等学校では男女共学となりましたが、当時は男女間の学力差が大きく、単純に男女共学にすると女子の学力水準では公立高校に入学するのが難しい状況でした。これは、高等女学校では理数系の科目の授業時間が少なく、外国語も必修科目となっていなかったことなどが主な理由です。こうした状況で、共学を実現する目的で1950年度から始められたのが男女別定員制で、当初は女子のために始められたものでした。しかし、次第に教育における男女差が埋まり、女性の社会進出がすすむと、男女別定員制が不平等であるという指摘が多くなっていきました。

東京都以外の道府県で男女別定員制を設けていた所は、社会の変化に伴って完全に撤廃しましたが、東京都だけは歴史的な経緯から私立高校に女子校が多く、共学化すると女子校の経営が立ち行かなくなるおそれがあるなどの理由から撤廃が見送られ続けて今日に至っています。

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